まず結論から言います
「いきなり工事を申し込む前に、機器の設定を見直すのが先」、これに尽きます。
設定を変えるだけで改善するケースが意外と多くて、実際うちのスタジオでもそれで一定解決しました。費用ゼロ、工事なし、管理画面を1〜2時間いじっただけです。
それでも改善しなかった場合にはじめて回線の切り替えを検討する——この順番を守るだけで、無駄な出費と遠回りをかなり減らせると思います。
「Wi-Fiが遅い」口コミ、最初は正直ナメてました
株式会社キトスタック代表の伊東です。神奈川県の藤沢・平塚でレンタルスペース「RentalSpacekite.」とスタジオ「StudioLOKU」を運営しています。本業はシステムエンジニア(サラリーマン)で、副業でスペースを始めて法人化した経緯があります。
正直に書くと、最初にWi-Fiのネガティブ口コミが入ったとき、あまり深刻に受け止めていませんでした。
「チェックしに行ったときは普通に使えてたし、とりあえずルーターを再起動しておけばいいか」という感じで終わらせていたんです。同じ対処を2〜3回繰り返したあたりで、じわじわと週末の予約件数が落ちてきました。
当時の評価は★3.8くらいで、口コミ一覧には「Wi-Fiが安定しなかった」「会議中に途切れた」という内容がちらほら並んでいる状態。新規で見てくれた方が口コミを読んで、別のスペースを選ぶ——という流れになっていたと思います。
あのときの焦りは今でも覚えています。「Wi-Fiくらいで」と軽く見ていた2〜3ヶ月の取りこぼしは、数字にすると本当に痛かったです。
うちは複数スペースを無人運営(スマートロック+自動メッセージで回す構成)にしているので、口コミが実質的な「営業マン」みたいなものなんです。そこが崩れると、予約がそのまま止まります。
副業でスタートした当初は資金繰りで焦った時期もあって、月の予約件数が落ちるのは本当にシビアな話でした。参考までに数字を出すと、うちの平塚スペース(約40㎡・家賃7.7万円)の2025年実績は月平均売上が約24.6万円、月平均利益が約5.3万円という数字が出ています。ポータルの手数料が売上の30%前後かかる構造なので、予約件数が数件落ちるだけで利益がほぼ消える月もあります。それくらいギリギリの構造の中で口コミ評価が下がっていた。「Wi-Fiくらいで」と思っていた自分を、あとになって本当に反省しましたね。
なぜ「自分では気づけない」のか
この問題のやっかいなところは、運営者が確認しに行っても「普通に使えてしまう」 ことなんです。
私がスペースに確認しに行くのは、たいてい平日の午前中です。スマホ1台だけ接続している状態で「うん、問題ないな」と確認して帰ってくる。
でも実際に利用者が使っているのは、平日夜や土日の時間帯に、4〜6台が同時接続している状態です。条件がまったく違うんですよね。
少し数字で整理すると、こんなことが起きています。
- マンション共用光回線(フレッツ光マンションタイプなど)はカタログ値では1Gbpsでも、混雑する時間帯には実効速度が10〜30Mbps程度まで落ちることがある
- Zoomなどオンライン会議の推奨速度は1人あたり上り・下りそれぞれ3Mbps以上。4人が同時に使えば12Mbps以上が安定して必要になる
- ネガティブ口コミは検索上位に残り続けるので、放置すればするほど影響が長引く
「たかがWi-Fi」ではなくて、放置すると地味にコストがかかる問題です。しかも自分では気づきにくいという性質がある。
SEとして自動化・仕組み化が得意な自分でも、この問題は「アラートが上がらないから気づけない」状態でした。システムで言うと「問題が起きているのに監視ツールが動いていない」みたいなもので、それが一番始末に悪い。口コミというかたちで初めてアラートが上がってきた頃には、すでに数件のマイナス評価が積み上がっていた、というわけです。
改善した流れ:3ステップでボトルネックを特定する
実際にやったことを順番に書きます。
ステップ1|まず「数字」で現状を把握する
感覚で「なんか遅い気がする」「でも一応使えてはいる」では話が進まないので、Fast.com か Speedtest.net で速度を計測します。
大事なのは3つのタイミングで計測することです。
| 計測タイミング | 目的 |
|---|---|
| ① 平日午前(スペースが空いているとき) | ベースラインの確認。「本来出るはずの速度」を把握する |
| ② 平日夜19〜22時 | 回線が混雑する時間帯。ここで極端に落ちるなら回線が原因 |
| ③ 利用者が実際に使っている最中 | 実際の体験値に近い計測。可能なら試してみる価値あり |
夜だけ極端に遅くなっているなら、回線(プロバイダ側)がボトルネックです。時間帯に関係なくずっと遅い、あるいは計測値は悪くないのに遅く感じるなら、ルーターや設定側の問題の可能性が高いです。
ここで原因を切り分けてから次に進むのが、SE的なアプローチです。いきなり工事を申し込むのは、バグの原因を特定する前にサーバーを全入れ替えするようなもの——ちょっと待って、という話です。
ステップ2|設定で改善できることを全部試す
計測してみて「回線速度自体はそこまで悪くない」という結果だった場合、ルーターの設定変更だけで改善することがよくあります。費用ゼロ、工事なし、管理画面を操作するだけです。
① ゲストWi-Fiで帯域制限をかける
1台のデバイスが動画をダウンロードしながら帯域を独占するのを防げます。多くの家庭向けルーターでも設定できます。スペースの利用規約に「大容量ダウンロード禁止」と書いていても、実際には制限をかけておかないと意味がないので、設定レベルで対応しておくのが現実的だと思っています。
② QoS(帯域優先制御)を有効にする
オンライン会議の通信を優先させる設定です。ルーターの管理画面から変更できる機種が多く、機種によって「QoS」「帯域コントロール」「優先設定」などの名称で出てきます。会議用途が多いスペースでは効果が出やすいです。
③ 同時接続台数に上限を設ける
「無制限」にしておくと、利用者が個人のスマホ・PC・タブレットなど複数台を同時につなぐことがあります。8〜10台を上限にするだけでも安定感が変わることがあります。
うちのStudioLOKU(平塚20㎡のダンス・整体スタジオ)では、この3つの設定変更だけでかなり改善しました。機器はそのままで、管理画面をいじったのが1〜2時間くらい。費用ゼロで体感速度が上がって、その後の口コミにも「Wi-Fiが安定していた」という声が出始めました。
StudioLOKUはダンスや整体の用途に加えて、配信や収録に使われることもあるので、接続台数や帯域の制御はわりと効いた印象です。
④ ルーターの設置場所と周波数帯を見直す
意外と見落としがちなのが、ルーターの物理的な配置です。金属ラックの裏や壁際の隅に置いていると、電波が弱くなることがあります。スペースの中心付近に置けると理想的です。
また、2.4GHz帯と5GHz帯の使い分けも効果的です。2.4GHzは壁の向こうまで届きやすいですが電子レンジや他の機器と干渉しやすく、5GHzは速いけど距離に弱い。スペースの広さや間取りに応じてどちらを案内するか決めておくといいと思います。うちでは案内ボードに「5GHzの方が速いです」と書いておくだけで、接続先を選んでもらえるようになりました。
⑤ ルーター本体が古い場合は機器の交換も検討する
5年以上使っているルーターは、Wi-Fi 6(802.11ax)非対応のことが多いです。複数台が同時接続する環境では、Wi-Fi 6対応ルーターに変えるだけで体感速度が上がることがあります。機器代は1〜2万円程度で済むので、回線を変える前に試してみる価値はあると思います。
ステップ3|それでも改善しないなら回線を変える
ステップ1の計測で「混雑時間帯だけ極端に遅い」という結果が出た場合、これは回線自体の構造的な問題です。
マンション共用回線は、建物全体で帯域を分け合う仕組みになっているので、スペース側の設定でどうにかなる話ではないんですよね。この場合は法人向けの専用回線への切り替えを検討します。
「工事の申し込みから使えるようになるまで1〜2ヶ月かかる」というのは頭に入れておいてください。うちの場合は1ヶ月半ほどかかりました。設定変更と並行して早めに申し込んでおいて、「設定を変えながら工事を待つ」という二段構えで動いたのが正解でした。
判断フロー:あなたのスペースはどのケース?
まず状況を整理して、どのステップに進むかを確認してみてください。
| 確認内容 | 結果 | 次のアクション |
|---|---|---|
| Fast.comで夜20時台に計測した速度 | 10Mbps以下 | 回線がボトルネック→ステップ3へ |
| Fast.comで夜20時台に計測した速度 | 30Mbps以上あるのに遅く感じる | 設定・機器側の問題→ステップ2へ |
| ステップ2の設定変更を試した結果 | 改善した | 完了(費用0円) |
| ステップ2の設定変更を試した結果 | 改善しなかった | やはり回線が問題→ステップ3へ |
うちの場合は、ステップ2の設定変更で一定改善したものの「夜だけ遅い」問題が残っていたので、最終的に回線を変えることにしました。設定変更と申し込みを並行で進めたのは、結果的に空白期間を短くできてよかったです。
比較:マンション共用光回線 vs NURO光 for Biz
回線の切り替えを検討したときに調べた内容を、そのまままとめておきます。
| 比較軸 | フレッツ光(マンション) | NURO光 for Biz | コメント |
|---|---|---|---|
| 月額コスト | 約3,000〜4,500円 | 月額5,720円〜 | 差額は月2,000円前後 |
| 実効速度(混雑時) | 10〜30Mbps程度 | 安定して数百Mbps以上 | ここが一番大きな差 |
| 工事期間 | 比較的早い | 時間がかかる場合あり | 早めに申し込みを |
| SLA・サポート | 個人向け対応 | 法人SLA付き・専用サポート | 問題発生時の対応が違う |
| 固定IP | オプションor非対応 | 標準提供 | 無人運営には地味に便利 |
| エリア対応 | 全国対応 | 対応エリア限定 | まずエリア確認が必要 |
月額2,000円の差額を見て最初は「うーん」と思いました。ただ、そこで一度冷静に計算してみたんです。
うちの平塚スペース(約40㎡)の平均単価は約10,140円/件です。月の予約件数が2〜3件増えれば、それだけで月2〜3万円の売上差になります。月2,000円の回線コスト増加は、その範囲で十分に回収できる計算です。
逆に言えば、予約件数が落ちている状態では、ポータルに手数料(インスタベース35%・スペースマーケット30%)を払い続けながら何も入ってこない、という一番もったいない状態になります。回線コストをケチって手数料が無駄になる方が、よっぽど損です。
実際に切り替えてから2〜3ヶ月で口コミ評価が★3.8→4.5前後まで回復して、予約件数も元に戻ってきました。「Wi-Fiが快適だった」という口コミが入るようになると、新規の方にも選んでもらいやすくなります。
NURO光 for Bizが向いているケースと、そうでもないケース
こういうスペースにはおすすめします
- オンライン会議や配信用途がメインのスペース
- 動画制作・収録系のスタジオ(うちのStudioLOKUはこれに近い用途があります)
- 4〜6人規模での同時接続が想定されるスペース
- 「Wi-Fiが遅い」口コミが複数入ってしまっているスペース
4K配信には25Mbps以上が安定して必要ですし、複数人が同時に使う環境では専用帯域があるかどうかで体感がまったく変わります。法人向けSLAがついているので、問題が起きたときの対応も早い。無人運営との相性がいいと感じています。
すぐに切り替えなくてもいいケース
- ステップ2の設定変更だけで改善したスペース
- 利用用途が軽作業・個人利用メインで、同時接続が少ないスペース
- NURO光 for Bizのエリア対象外の物件
エリア対象外の場合は、フレッツ光ネクストのプロバイダをIIJやNTTコミュニケーションズの法人向けプランに変更する、という選択肢もあります。完全に無策ではないので、まずエリア確認だけでもしてみることをおすすめします。
実際にかかったコストと期間
参考までに、うちのケースをそのまま共有しておきます。
| 対応内容 | 費用 | 所要時間・期間 |
|---|---|---|
| ステップ2:設定変更(帯域制限・QoS・接続台数上限・設置場所見直し) | 0円 | 約1〜2時間(管理画面の操作のみ) |
| ルーター本体の交換(Wi-Fi 6対応機種に変更) | 1〜2万円程度 | 即日〜数日 |
| ステップ3:回線切り替え(月額増加分) | +約2,000円/月 | 申し込みから約1.5ヶ月 |
| 口コミ評価の変化 | — | 回線切り替え後、約2〜3ヶ月で改善が見え始めた |
口コミの評価が上がるには時間がかかります。回線を変えた翌日に★が跳ね上がるわけじゃないので、そこは焦らず。利用者の体験が改善されれば、口コミは少しずつ積み上がってきます。
うちの平塚スペースは12月だけ売上51.6万・利益24.6万という月もありましたが、4月・7月・10月は利益がほぼゼロになる閑散期もあります。そういう月の落ち込みを最小限にするためにも、口コミ評価を底上げしておくのは本当に大事だと実感しています。閑散期でも「評価が高いから選んでみようかな」と思ってもらえるかどうか、そこに差が出てくるんですよね。
口コミを増やす工夫についても少し
回線や設定を改善したあと、「そもそも口コミを書いてもらいやすい環境にする」という視点も大事です。
ただ、ここは注意が必要な部分があるので正直に書いておきます。
ポータル(インスタベース・スペースマーケット等)の予約者に対して、自社サイトやLINEへ誘導するのはポータルの規約上NGです。 予約確認メールやメッセージ機能でのURL・LINE誘導は絶対にやらない方がいいです。アカウント停止のリスクがあります。
スペース内に「口コミをいただけると助かります」という案内を置く方法もありますが、スペース内のQRコードで自社サイトへ誘導するのは各ポータルの規約上グレーゾーンとされているケースがあります。やっている運営者も多いですが、必ず各ポータルの規約を自分で確認してから判断するようにしてください。
口コミを集める一番の近道は、体験そのものを良くすることです。Wi-Fiの改善はその一環で、「快適だった」と感じてもらえれば、自然と口コミに書いてもらえる確率が上がります。小手先の誘導より、体験の質を上げる方が結果的に早いと感じています。
ポータル手数料との関係でも考えてみる
少し視点を変えると——口コミ評価と予約件数は、ポータルの検索順位にも影響します。
うちが使っているポータルの手数料はこういう構造です。
| ポータル | 手数料 |
|---|---|
| インスタベース | 35%(業界最高水準) |
| スペースマーケット | 30% |
| スペイシー | 30% |
| かしかし | 30% |
| くーある | 15%(比較的低め) |


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