結論から言います:この3つは絶対に外せない
「利用者がケガをしたらどうしよう」「高い備品を壊されたら誰が補償するの?」
スペースを始めたばかりのころ、僕もこの不安をずっと抱えていました。正直、最初は「プラットフォームに保険があるから大丈夫でしょ」と思っていたんですが、それが甘かったと気づいたのは運営を始めてしばらく経ってからです。
結論から言うと、入っておくべき保険はこの3つです。
- 施設賠償責任保険(利用者がスペース内でケガをしたときのカバー)
- 動産総合保険(備品・什器の破損・盗難・水漏れなどへの対応)
- PL保険(生産物賠償責任保険)(サービスや備品が原因で損害が出たときのカバー)
月額にすると合計で5,000〜10,000円くらいです。うちの平塚スペースは月平均24万円ほどの売上があるので、この費用はまあ現実的な範囲だなと感じています。
「プラットフォームの保険があるから十分でしょ?」と思っている方こそ、後半の説明を読んでみてほしいです。その考え方がどれだけ危ないか、具体的なケースで説明します。
書いている人の自己紹介
神奈川県の藤沢・平塚でレンタルスペースを運営している伊東と申します。株式会社キトスタックの代表です。
本業はシステムエンジニア(会社員)で、副業でスペースを始めて法人化しました。現在は以下のスペースを運営しています。
- RentalSpacekite. 平塚(約40㎡・多目的スペース)
- RentalSpacekite. 藤沢(約64㎡・多目的スペース)
- StudioLOKU(平塚・約20㎡のダンス・整体スタジオ+ピアノ専用ルーム)
全スペース合算で2025年の年間売上は約685万円、年間利益は約160万円という規模感です。広告費はゼロで、スマートロック+自動メッセージで基本的に無人運営しています。
SEとして「仕組みで回す」のが好きなので、保険も「リスク管理の仕組みの一部」として整えました。同じ立場の運営者の方に参考になればと思って書いています。
「プラットフォームの保険があるから大丈夫」という勘違い
まずここをはっきりさせたいです。
スペースマーケットやインスタベースには利用者・オーナー向けの保険が付帯していますが、これは補助的なものであって、主たる保険として機能するものではありません。
スペースマーケットの付帯保険を例にとると、補償上限は1事故あたり最大100万円です。一見十分そうに見えますが、以下のケースは対象外になることがほとんどです。
- 什器の単体破損(転倒・落下など、誰が壊したか特定できないもの)
- 鍵の紛失・交換費用
- 自然消耗による備品の劣化
- 予約外の時間帯に発生した事故
- 盗難
運営者コミュニティでこういう話を聞いたことがあります。撮影スタジオ用のスペースで照明機材(購入価格80万円)を利用者に落とされたケースで、プラットフォームの保険が「経年劣化との判別が難しい」という理由で支払いを拒否。オーナーが利用者と直接交渉する羽目になったと。
80万円の機材が手元に残らない可能性があるわけです。それだけで月の利益が吹き飛ぶどころか、大赤字になります。
うちのStudioLOKUは音響機材やピアノも置いているので、この話は他人事じゃないと感じました。ピアノが水漏れで傷んだり、盗難にあったりしたら、修理・買い替えで百万円単位の話になります。だからこそ自前の保険を揃えておく必要があると、改めて実感しています。
3種類の保険を順番に整理します
①施設賠償責任保険:まず最初にここから
カバーする内容
スペース内の設備・構造物が原因で利用者がケガをした場合の損害賠償リスクをカバーします。
- 床が濡れていて滑って転倒した
- 棚が倒れてケガをした
- 照明器具が落ちて頭を打った
こういったケースが対象です。「スペースの管理不備が原因」という要素があれば、だいたいこの保険の出番になります。
保険料の目安
1スペースあたり、補償上限1億円のプランで月額1,000〜3,000円程度です。1日に換算すると30〜100円。コーヒー1杯以下のコストで1億円の賠償リスクをカバーできると思うと、入らない理由がないと思います。
どこで入れるか
東京海上日動や損保ジャパンの施設賠償責任保険が代表的です。中小企業・個人事業主向けのパッケージ型総合保険に賠責特約として付いているタイプもあります。複数スペースをまとめて契約できるプランもあるので、スペースが増えてきたら一括で見直してみるといいと思います。
無人運営の場合は特に重要
現場にスタッフがいれば、事故が起きたときに初動対応ができます。でも無人運営だと、トラブルが起きても気づくのが遅れます。うちもスマートロック+自動メッセージで回しているので、「現場にいないからこそ保険で備える」という発想で動いています。
②動産総合保険:備品・什器を守る
カバーする内容
備品や什器の破損・盗難・火災・水漏れによる物的損害をカバーします。「借家人賠償責任特約」を付けると、建物への損害(水漏れで床材を傷つけたなど)も補填できます。
なぜ必要か
プラットフォームの保険が見るのは「利用者が何かをした結果の損害」だけです。什器が自然に倒れた、盗難にあったというケースは完全に自己負担になります。
スペースに椅子・テーブル・プロジェクター・音響機材などを揃えていくと、備品の総額は意外と大きくなります。うちの平塚スペースも開業時に備品を一通り揃えたら、軽く50万円を超えました。これが一度の事故で全部消えたらと思うと、やはり動産総合保険は外せないです。
保険料の目安
月額2,000〜5,000円程度。保険をかける什器・備品の総額や補償内容によって変わります。スペースに置いている備品の購入価格を一覧化しておいて、それを基に補償額を設定するのがおすすめです。
③PL保険(生産物賠償責任保険):サービス起因のリスクをカバー
カバーする内容
スペースで提供したサービスや備品が原因で利用者に損害が生じた場合の賠償リスクをカバーします。
- ワークショップ用の器材に不具合があってケガをした
- スペースで提供したドリンクで体調不良になった
- 体験イベントの器材が壊れて参加者がケガをした
特にワークショップやイベント開催を許可しているスペースは入っておきたい保険です。「うちはただスペースを貸すだけ」と思っていても、スペース内に置いてある器材や設備が絡めばPL保険の領域に入ってきます。
プラットフォーム保険との違い
プラットフォームの保険は「予約が成立した利用に限り、かつ補償上限100万円まで」という枠があります。PL保険はその上限を超えた部分や、適用外になるケースを補填するイメージです。施設賠償責任保険と組み合わせて、初めて穴のない補償体制になります。
保険料の目安
月額1,000〜2,000円程度。施設賠償責任保険と組み合わせてパッケージになっているプランも多いので、まとめて見積もりを取ると効率的です。
3種類の保険と比較表
| 比較項目 | プラットフォーム保険 | 施設賠償責任保険 | 動産総合保険 | PL保険 |
|---|---|---|---|---|
| 補償上限 | 最大100万円 | 1億円〜 | 実損補填(設定額まで) | 数千万円〜 |
| 月額コスト | 無料(手数料内) | 1,000〜3,000円 | 2,000〜5,000円 | 1,000〜2,000円 |
| 利用者のケガ | △(条件あり) | ◎ | △ | ○ |
| 什器の破損 | △(単体破損は対象外) | △ | ◎ | △ |
| 盗難 | ✗ | ✗ | ◎ | ✗ |
| 鍵の紛失 | ✗ | ✗ | △(特約で対応可) | ✗ |
| 建物損害 | ✗ | ✗ | ◎(借家人特約) | ✗ |
| 位置づけ | 補助的なもの | まず最初に入る | 備品が多いほど重要 | イベント系に必須 |
プラットフォームの保険は「ゼロよりマシ」くらいの位置づけで見ておくのが正直なところです。自前で施設賠責+動産総合を組み合わせて、初めて実務的な補償になると思っています。
実際のリスク感覚として:うちの数字で考えてみます
少し具体的な話をします。
うちの平塚スペースは、2025年の年間売上が約295万円、月平均で約24.6万円です。年間利益は約77万円で、月平均だと約5.3万円くらいになります。
この利益5.3万円に対して、保険料が月1万円かかるとしたら、利益の約20%が保険コストになる計算です。「けっこう高いな」と感じる方もいるかもしれません。
でも逆に言うと、1件でも大きな事故があればこの利益は吹き飛ぶどころか、赤字で廃業という話になります。うちのスペースは4月・7月・10月が閑散期で利益がほぼゼロになる月もあるくらいなので、そこに事故が重なったらシャレになりません。
保険は「コスト」というより「事業継続のための仕組み」と考えた方がしっくりくると思います。SEとして仕組みを設計するのが好きな自分としては、保険もそういうふうに捉えています。リスクを仕組みで潰しておくのは、スマートロックで無人運営を実現するのと根っこは同じ発想です。
居抜き物件でスタートした場合の注意点
うちの平塚スペースも藤沢スペースも、居抜き物件を活用して開業しました。居抜きのいいところは、入居してすぐに営業開始できること。でもそこに落とし穴もあります。
「すぐ営業できる」ということは「最初から利用者が来る可能性がある」ということです。保険の手続きを後回しにしていると、保険なしで営業している期間が生まれてしまいます。
保険は申し込んだ翌日から効力が発生するものが多いので、内装工事中や開業準備中に並行して手続きを進めるのがベストです。「スペースが完成してから考えよう」ではなく、「物件契約したタイミングで保険も動き出す」くらいのスケジュール感で動くといいと思います。
保険料を経費として整理する:カード一本化が楽
保険に入ったら、保険料の支払いをビジネスカードに一本化することをおすすめします。個人口座と事業口座が混在していると、確定申告のときに経費の仕分けが面倒になります。
僕自身、最初は個人カードで保険料を払っていて、確定申告のときに明細を見ながら「これは事業用だったっけ…」と悩んだことがありました。今は事業用のカードに統一して、保険料・光熱費・清掃費などをまとめて引き落とせるようにしています。
副業でスペースを運営している方は、本業の会社員として社会保険(健康保険・厚生年金)が適用されているはずなので、節税という観点では「経費をしっかり計上する」「青色申告を活用する」あたりが現実的な打ち手になります。保険料も当然経費になるので、支払い経路を整理しておくと申告が楽になります。
状況別でカードを選ぶ目安
| カード名 | 年会費 | こんな人に向いている | おすすめ度 |
|---|---|---|---|
| 三井住友ビジネスカード for Owners | 1,375円〜 | 副業・個人事業主・開業間もない方 | ◎ |
| セゾンプラチナ・ビジネス・アメックス | 22,000円 | 複数スペース運営・月商が大きい方 | ○ |
| ライフカードビジネスライト | 永年無料 | とにかく今すぐ1枚欲しい方 | △ |
副業でスペースを始めたばかりの方や、まだ1〜2スペースで運営している方には三井住友ビジネスカード for Ownersが現実的だと思います。審査も比較的通りやすいですし、月の経費が50万円未満であれば限度額で困るケースはあまりないです。
複数スペースを運営していて月商が大きくなってきたら、セゾンプラチナへの切り替えも選択肢に入ります。
よくある疑問に答えます
Q. 居抜き物件に入居したばかりでも、すぐ保険に入れますか?
入れます。むしろ居抜きは入居してすぐ営業開始できるケースが多いので(うちもそうでした)、契約と同時に保険の手続きを進めるのがいいと思います。申し込んだ翌日から効力が発生するものが多いので、最初の予約が入る前に手続きを完了させておくのがベストです。
Q. 無人運営の場合でも保険は必要ですか?
むしろ無人運営の方が必要度が高いと思っています。現場にスタッフがいれば事故の初動対応ができますが、無人だとトラブルが起きても気づくのが遅れます。うちもスマートロック+自動メッセージで回しているので、「現場に人がいない分、保険でリスクを吸収する」という設計で動いています。
Q. 同じスペースを固定利用者とレンタルで両方使っている場合は?
基本的な保険の種類は変わりませんが、業態ごとのリスクを考える必要があります。うちのStudioLOKUはダンス・整体スタジオとして固定利用があり、残りの枠をレンタルスペースとして外部に貸しています。スタジオ用途は体を使う分ケガのリスクも高いので、動産総合保険の補償内容を厚めに設定しました。複数の用途があるスペースは、保険会社に「こういう使われ方をしている」と正直に伝えて見積もりを取るのがおすすめです。
自社サイトとポータルで保険の考え方は変わる?
少し補足しておきます。
インスタベース・スペースマーケットなどのポータル経由の予約は、そのプラットフォームの付帯保険が適用されます(補償内容・条件は各社で異なります)。
一方、自社サイト経由やSNS経由の直接予約には、プラットフォームの保険は一切適用されません。自前の保険だけが頼りになります。
ポータルの手数料は実際に運営していて大きく感じていて、インスタベースは35%、スペースマーケット・スペイシー・かしかしは30%、くーあるは比較的低めで15%です。自社サイトならStripeなどの決済手数料が約3.6%だけなので、直接予約を増やす努力はしているのですが、直接予約が増えるほど自前の保険の重要性も上がります。この点は意識しておく必要があります。
なお、ポータル経由で来た利用者を自社サイトやLINEに誘導する行為(メッセージでURLを送るなど)はポータルの規約違反です。スペース内にQRコードを置く方法をとっている運営者もいますが、これも規約上はグレーゾーンです。自社誘導をしたい場合はポータルの利用規約を必ず確認してください。
まとめ
保険の話は「難しそう」「後回しでいいか」となりがちですが、整理するとシンプルです。
- 施設賠償責任保険:まず最初に入る(月1,000〜3,000円)
- 動産総合保険:備品が多いほど重要(月2,000〜5,000円)
- PL保険:ワークショップ・イベント可能スペースは必須(月1,000〜2,000円)
合計で月5,000〜10,000円。うちの平塚スペースの月平均利益が約5.3万円なので、その1〜2割で主要なリスクをカバーできると考えると、悪くないバランスだと思っています。
プラットフォームの保険はあくまで補助的なもの。「入っているから安心」ではなく「入っているけど足りない部分がある」という前提で動いた方が安全です。
特に無人運営・居抜き物件スタートの方は、「現場にいないからこそ保険を手厚くする」という発想で整えておくと、あとで後悔しなくて済むと思います。
今月中にやること:2アクションだけ
難しく考えなくていいです。今月中にこの2つだけ動かしてみてください。
- 施設賠償責任保険に申し込む
- 保険料の支払いをビジネスカードに一本化する
この2アクションを終わらせるだけで、リスク対策の第一歩が完了します。「いつ
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