レンタルスペースの価格設定で失敗しない方法|動的価格設定で売上を上げた手順

レンタルスペースの価格設定で失敗しない方法

目次

結論:「全時間帯に同じ価格」をやめるだけで変わります

はじめに結論から言わせてください。

価格設定で悩んでいる運営者の多くは、「価格そのものが問題」ではなく、「全枠に同じ価格をつけている構造が問題」だと思います。

私は神奈川県の藤沢・平塚でレンタルスペース「RentalSpacekite.」とスタジオ「StudioLOKU」を運営している伊東といいます。本業はシステムエンジニアで、副業でスペースを始めて法人化しました。複数のスペースを無人運営しながら、できるだけ手を動かさない仕組みを作ることを意識しています。

その経験から言うと、価格ゾーニングの方向性はシンプルで、やることはこの3つです。

  • 土日の午後は15〜20%値上げ
  • 平日の空き枠は用途を絞って25〜30%値下げ
  • 用途別のプランページを作って価格比較されにくくする

「値上げしたら予約が一気に止まった」という経験がある方は、おそらく全時間帯を一律に値上げしてしまっています。上げていい枠と下げるべき枠が混在しているのに、まとめて動かせばそうなります。私も平塚スペースを開業した直後にやらかしました。

最初はとにかく予約を取りたくて、全時間帯を安めに設定していたんです。でも週末の午後は毎週埋まっているのに、平日昼は空きっぱなしという状態が続いていました。そこで価格のゾーニングを始めたところ、月の売上が少しずつ上がっていきました。この記事はその経験をベースに書いています。


問題提起:土曜午後は満席なのに、平日昼は毎週ガラガラになっていませんか?

レンタルスペースの運営でよく聞く悩みは、だいたい2パターンに集約されます。

  1. 「値上げしたら予約が激減した」
  2. 「値下げしたら予約は増えたけど全然利益が出ない」

どちらも経験したことがある方、きっと多いと思います。私もそうでした。

この悩みが起きる根本的な原因は、需要の波を無視した「一律価格」にあります。典型的なパターンを整理するとこうなります。

時間帯 実際の需要 よくある価格設定
土日 14〜18時 問い合わせが集中・よく埋まる 平日と同じ価格
平日 10〜14時 毎週ほぼ空き 土日と同じ価格
土日 午前 まあまあ予約が入る 全時間帯と同じ価格

土日の午後は「もう少し高くても使う」層が確実にいます。でも価格を動かしていないから、その需要を取りきれていない。一方で平日昼は価格が障壁になって、誰も試してくれない。両方の損を同時に抱えている状態です。

私の平塚スペース(RentalSpacekite. 約40㎡)の2025年実績で言うと、年間売上は約295万円で月平均が約24.6万円です。ただし12月だけ売上が51.6万円まで跳ね上がります。年末パーティー需要が一気に集中するからです。逆に4月・7月・10月は利益がほぼゼロになる閑散期があります。

この波が読めていなかった開業当初は、閑散期も繁忙期も同じ価格にしていたので、稼げる時期に稼ぎきれず、暇な時期は暇なままという状況が続いていました。価格ゾーニングを始めてから、この状況が少しずつ改善していきました。


解決策:3ステップで「ゾーニング価格」に切り替える

ステップ1|予約データを「曜日×時間帯×用途」でマトリクス化する

まず直近3ヶ月の予約データを書き出します。

縦軸に曜日(月〜日)、横軸に時間帯(2時間刻みがおすすめ)を置いて、各セルに予約件数と用途(会議・撮影・パーティー・ダンスなど)を記入します。紙でもExcelでもスプレッドシートでも構いません。

このマトリクスを作ると、ほぼ必ず「パターン」が見えてきます。

  • 毎週土曜の14〜18時は埋まっている
  • 平日の10〜14時はほとんど入っていない
  • 月曜と火曜は全体的に動きが少ない

「なんとなく週末は人気」という感覚レベルの認識を、実際のデータで確認するのが最初の一手です。私はSEの習慣で、開業直後からこのデータをスプレッドシートで管理しています。月ごとに見返すと季節の傾向もわかってきますし、翌年の価格調整の判断材料にもなります。

予約管理をまだ手動でやっているなら、まず予約システムでデータを蓄積できる状態を先に作ることをおすすめします。データなしで価格を動かすのは、地図なしで目的地を目指すようなものです。私は自社サイトでAmeliaというWordPressプラグインを使って予約管理をしていますが、ポータルサイトでも予約履歴は確認できるので、まずそこから集計してみてください。

ステップ2|需要の強弱に合わせて「価格傾斜」をつける

マトリクスで需要の強弱が見えたら、次のような基準で価格を動かしていきます。

枠の状況 判断の目安 価格アクション
毎週のようにほぼ埋まる 需要が高く、値上げの余地あり 現行比15〜20%値上げ
月の半分前後で予約が入る おおむね適正 現状維持または小幅調整
月に数回しか入らない 価格が障壁になっている可能性大 用途限定で25〜30%値下げ

土日の14〜18時はほとんどのスペースでピーク帯です。ここは20%値上げしても予約数が変わらないことが多いです。むしろ単価が上がる分、月の売上総額が上がります。私の平塚スペースでも、土日午後の単価を上げてから月平均の数字が改善していきました。

平日昼帯は「単純な値下げ」より「用途を絞った割引」の方が効果的です。「撮影専用の平日割引プラン」「ヨガ・ストレッチ限定プラン」のように使い道を明確にすると、その用途で探している人の検索に引っかかりやすくなります。「私向けのプランだ」と感じてもらえれば、価格より目的の合致で決めてもらえる確率が上がります。

また、ポータルサイトでは用途別にプランを複数設定することができますが、細かいカスタマイズには限界があります。自社サイトを持っている場合は、用途別のランディングページを作るとより柔軟に動けます。

ステップ3|用途別プランページを作って「比較されにくい価格」を作る

同じ部屋でも、「女子会プラン」「商品撮影プラン」「ビジネス会議プラン」のように用途別のページを設けると、競合スペースとの単純な価格比較から外れやすくなります。

「会議室として1時間1,500円」と「商品撮影プラン・2時間5,000円(背景紙・照明スタンド付き)」では、同じ部屋でも比較の軸が変わります。後者で探している人は「時間単価」ではなく「この用途に使えるか」で判断するので、横並びの価格競争から一歩外れられます。

用途別ページを複数作れるのは自社サイトの強みです。私はWordPressのSWELL+ConoHa Wing環境でサイトを運営していて、用途ごとに別ページを作って予約導線を分けています。ポータルサイトも複数プランを設定できますが、ページデザインや説明文の自由度では自社サイトに軍配が上がります。


価格を動かすときに必ず意識したいこと:手数料コストの現実

価格ゾーニングを考えるときに、「どこで予約を取るか」によって手元に残るお金がかなり変わってきます。ここは運営者として絶対に把握しておきたい部分です。

私の平塚スペースの2025年実績で言うと、ポータルへの手数料だけで年間約88万円かかっています。年間売上が約295万円なので、売上の約30%が手数料で消えている計算です。これは決して特殊なケースではなく、ポータル経由がメインの運営者ならどこもだいたいこのくらいになります。

各プラットフォームの手数料を実際の数値で整理するとこうなります。

プラットフォーム 手数料率
インスタベース 35%
スペースマーケット 30%
スペイシー 30%
かしかし 30%
くーある 15%
自社サイト(Stripe等) 約3.6%(決済手数料のみ)

たとえば1件5,000円の予約があったとき、インスタベース経由なら手元に残るのは3,250円です。同じ予約が自社サイト経由なら約4,820円残ります。この差は価格設定の判断にも直結します。

自社サイト経由の予約比率を少し上げるだけで、価格を値上げしなくても利益率が改善するケースがあります。ただし、ポータル経由で来た予約者に対して、自社サイトやLINEへ誘導するのはポータルの規約違反です。予約確認メールや予約後のメッセージに自社URLを記載したり、LINEへ誘導したりする行為は絶対にやめた方がいいです。スペース内にQRコードを置く方法はやっている運営者も多いですが、規約上はグレーゾーンです。一応頭に入れておいてください。

自社経由の予約を増やしたいなら、SNSや検索経由でポータルを通さない認知ルートを作るのが正攻法です。


閑散期の価格だけに頼らない:定期利用で底を作る

価格ゾーニングとは少し角度が違う話ですが、「閑散期の予約をどう埋めるか」という観点で、価格以外にやって良かったことをひとつ紹介します。

私は平塚スペースで「湘南ポーカークラブ」を月1回(第2日曜)定期開催しています。自分のスペースを自分で使う、自主イベントです。楽しみでやっている側面もありますが、予約が少ない時期の枠を埋める効果があります。参加者がスペースの存在を知って口コミしてくれたり、定期的な集客のきっかけにもなっています。

閑散期に価格を下げることも一つの手ですが、それだけだと「安いから来た人」しか集まりません。値下げの常態化は長期的に単価の底上げを難しくします。自分が楽しめるコンテンツを軸にした定期イベントを置くことで、価格に頼らない安定感が少しずつ出てきました。

固定利用+定期イベント+価格ゾーニングの組み合わせで、繁忙期に稼ぎ、閑散期も最低限埋まる構造を目指しているのが今の私のスタイルです。


実装するなら予約システムの「ゾーニング設定のしやすさ」で選ぶ

価格を細かく制御するには、使っている予約システムによって実装のしやすさがかなり変わります。「どのシステムが安いか」ではなく、「ゾーニング価格を設定しやすいか」で選ぶのがいいと思います。

評価軸 自社サイト+Amelia スペースマーケット インスタベース
時間帯別の価格設定
用途別プランページの作成
予約データの可視化 ○(要設定)
決済一体型 ◎(Stripe連携)
初期コスト △(構築が必要) ◎(無料〜) ◎(無料〜)
カスタマイズ自由度
手数料 約3.6% 30% 35%
おすすめ度 ◎(慣れたら最強)

私が自社サイト(WordPress+Amelia)にしている理由は、カスタマイズの自由度と手数料の差です。ただ、初期の構築にはある程度の手間がかかります。副業でスペースを始めたばかりの方は、まずポータルサイトから始めてデータが溜まってきてから自社サイトを検討するのが、現実的な順番だと思います。

ポータルと自社サイトは競合ではなく、使い分けるものです。ポータルで集客して、自社サイトはリピーターや検索流入の受け皿にするイメージで運用するのが一つの考え方です。


まとめ

価格設定の問題は「いくらにするか」ではなく、「どの枠にいくらをつけるか」です。

整理するとこの3ステップです。

  1. 直近3ヶ月の予約データを「曜日×時間帯×用途」でマトリクス化する
  2. 需要の強い枠は15〜20%値上げ、弱い枠は用途を絞って25〜30%値下げ
  3. 用途別プランページを作って、価格比較から外れる軸を作る

この3ステップを実行すると、値上げと値下げを同時に実現できます。

あわせて、ポータル手数料のコスト感(インスタベース35%、スペースマーケット30%など)を常に意識しておくことも大事です。価格を上げるより、自社経由の予約比率を少し上げる方が利益改善に効く場合もあります。

閑散期は価格だけで対処しようとするより、定期イベントや固定利用で構造的に埋める仕組みを作ると、精神的にも楽になります。価格の調整は「最後の一手」ではなく「構造を作った後の調整」くらいの位置づけで考えると、判断が落ち着いてできるようになります。

まずはデータを揃えることから始めてみてください。マトリクスを作った瞬間、「どこを動かすべきか」は自然と見えてきます。


今すぐできる最初の一手

直近3ヶ月の予約データを引っ張り出して、曜日×時間帯のマトリクスに書き出してみてください。

「毎週埋まっている枠」と「毎週空いている枠」のパターンが見えたら、そこが価格を動かすスタートラインです。

予約管理をまだ手動でやっているなら、先に予約システムでデータを蓄積できる状態を整えることをおすすめします。データなしで価格を動かすのは、地図なしで目的地を目指すようなものです。まずそこからです。


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