2店舗目の頭金を1店舗目の利益で作る現実的なロードマップ

多店舗展開のロードマップ

目次

「もう少し貯めてから」で1年以上止まっていた

2店舗目・3店舗目を出したいけど、何から始めればいいかわからない。

この気持ち、すごくわかります。私自身、平塚のスペース(RentalSpacekite.)をある程度軌道に乗せたあと、「藤沢にも出したい」と思いながら、なかなか踏み出せない時期がしばらく続きました。

理由はシンプルで、「もう少し貯まってから動こう」と思い続けていたからです。

実際に藤沢スペースを開業したのは2025年4月。平塚の収支が安定してきたタイミングでした。そのとき改めて気づいたのは、「全額現金で用意してから動こう」という考え方のままだと、そこからさらに半年〜1年は確実に遅れていたということです。

この記事では、私の実体験をもとに「1店舗目の利益でどうやって2店舗目の頭金を作るか」という現実的なロードマップを書きます。難しい話ではなく、毎月の数字を地道に積み上げていくだけです。ただ、最初に「Goラインの基準を自分で決める」という一手を踏まないと、積み上げるべき目標すら見えてこないので、そこから順番に整理していきます。


まず「次に進んでいい条件」を自分なりに決める

よく「稼働率○%になったら2店舗目」という話を見かけますが、正直あまり参考にしていません。その数字、スペースの広さや価格帯によって意味が全然違ってくるので。

私が2店舗目を本気で検討し始めたのは、以下の3つが揃ったときです。

  • 1店舗目が3ヶ月以上、連続して月次黒字が続いている
  • 週末の予約がコンスタントに埋まっていて、断るケースが出てきた
  • 自分の手がほぼかかっていない(無人運営が普通に回っている)

この3つが揃ったとき、初めて「次を考える余裕が出てきた」という感覚になれました。

逆に言うと、1店舗目がまだ赤字だったり、日々のオペレーションに自分がべったり張り付いていたりする状態では、2店舗目を出しても運営が崩れます。私はシステムエンジニアなので「仕組みが整っていないのに並行処理を増やすな」という感覚がわりと染み付いていて、それが判断基準になっている部分があります。2店舗目を出す前に、まず1店舗目を「自分がいなくても回る状態」にしておくことが大前提だと思っています。


平塚スペース(1店舗目)のリアルな数字

参考として、私が運営している平塚スペース(RentalSpacekite. 約40㎡・家賃7.7万円)の2025年実績を共有します。

項目 金額
年間売上 約295万円
月平均売上 約24.6万円
年間利益 約77万円
月平均利益 約5.3万円
ポータル手数料(年間) 約88万円(売上の約30%)
清掃費(月平均) 約9,200円
光熱費(月平均) 約1.8万円
平均単価 約10,140円/件

月の利益が平均5万円ちょっとというのが現実です。

「売上24万円で利益5万円?」と思う方もいると思いますが、ポータルの手数料が売上の約30%かかるとこうなります。ポータルごとの手数料率をまとめておきます。

ポータルサイト 手数料率
インスタベース 35%
スペースマーケット 30%
スペイシー 30%
かしかし 30%
くーある 15%
自社サイト(Stripe等) 約3.6%(決済手数料のみ)

インスタベースをメインで使っている場合、手数料率は35%なので、月売上24万円なら手数料だけで8.4万円飛びます。数字にするとなかなかのインパクトです。

もう一つ重要なのが月ごとのバラつきです。12月は売上51.6万円・利益24.6万円と別格に好調で、3月も売上41万円・利益20.4万円と高めでした。一方、4月・7月・10月はほぼ利益ゼロという閑散期があります。年間トータルで黒字でも、毎月安定して黒字というわけではないのが現実です。

この「月によってバラつく」という性質は、積立計画を立てるときに必ず織り込んでおく必要があります。


2店舗目の頭金を積み立てるロードマップ

では、月平均利益5万円程度という状況で、どうやって2店舗目の頭金を作るか。実際に私がやっていたことをステップで整理します。

ステップ1:月次の収支を3ヶ月分、数字にする

まず「うちのスペースは毎月いくら残っているか」を実数で出します。感覚ではなく。

売上 − ポータル手数料 − 家賃 − 光熱費 − 清掃費 − その他経費 = 月次純利益

この計算を直近3ヶ月分やって、平均を出してみてください。おそらく「思ったより少ない」という感想になると思いますが、それが現実なのでまず直視するのが先決です。

私も最初に平塚スペースの数字を細かく出したとき、「ポータル手数料ってこんなにかかってたのか」と改めて実感しました。月の売上を見て安心していると、実際の利益を把握するのが遅れます。


ステップ2:2店舗目の初期費用を概算で出す

物件によって大きく違いますが、一般的なレンタルスペースの初期費用の目安はこんな感じです。

費用項目 目安金額
敷金・礼金 家賃の2〜4ヶ月分
内装・リフォーム 0〜50万円(居抜き物件なら大幅に安くなる)
備品・家具 20〜50万円
スマートロック等 3〜10万円
その他(登録費用・消耗品等) 5万円前後
合計(目安) 100〜200万円

私が藤沢スペースを開業したときは居抜き物件を活用したので、内装コストをかなり抑えられました。入居後すぐに運営を始められたのも、居抜きだったからこそです。

居抜きを狙えるかどうかで、初期費用の総額は大きく変わります。「100〜200万円が必要」という前提で見ていた物件が、居抜きなら80万円以下で開業できるケースもあります。物件探しの段階から居抜きかどうかを必ず確認することをおすすめします。


ステップ3:Goライン金額を決めて逆算する

初期費用の概算が出たら、「Goライン」を設定します。私の考え方はシンプルで、初期費用の全額を現金で用意しなくていい、です。

現実的なGoラインの目安:

  • 自己資金:初期費用の50〜60%(100〜200万円の物件なら50〜120万円)
  • 残りは融資か、軌道に乗ってから利益で補填

全額現金で貯めようとすると、月5万円の積立では100万円に20ヶ月かかります。でも60万円をGoラインにすれば、12ヶ月で動き出せます。居抜き物件が見つかれば、さらに早まることもあります。

ただし、ここで必ずセットで考えてほしいのが「開業後2〜3ヶ月分の運転資金バッファ」です。

藤沢スペースを開業した2025年4月は、一時的に赤字になりました。開業月はどうしても初期費用がかかりますし、予約が入り始めるまでにタイムラグがあります。私も多少焦りました。「開業したら翌月から黒字」なんて都合よくいかないのがほとんどです。このバッファを含めていないと、資金繰りで想定外に焦ることになります。Goライン金額には運転資金バッファを含めて計算しておくことを強くおすすめします。


ステップ4:月次利益から積立額を決める

月次純利益が5万円のスペースで、全額を積立に回すのは現実的ではありません。事業口座にバッファが必要ですし、光熱費の変動や想定外の修繕費も出てきます。

私の感覚では、月次利益の50〜60%を積立に回すのが無理のないラインです。

月次純利益 積立額(50%) 60万円到達まで
3万円 1.5万円 約40ヶ月
5万円 2.5万円 約24ヶ月
8万円 4万円 約15ヶ月
10万円 5万円 約12ヶ月

月次利益が5万円だと、積立だけで60万円に2年かかります。だからこそ、積立と並行して融資の準備も進めておく価値があります。融資が使えれば、動き出せるタイミングを現実的に早められます。


収益を安定させるために1店舗目でやっておきたいこと

2店舗目を出す前に、1店舗目の収益をできるだけ安定させておくことも大切です。月次利益が5万円でも、毎月安定して5万円が出せているかどうかは全然違います。閑散期に利益ゼロが続くと積立が一時止まりますし、精神的にも消耗します。

定期イベントで閑散期の底打ちをする

私は平塚スペースで「湘南ポーカークラブ」を月1回(第2日曜)定期開催しています。参加者を自分でリピーターにできますし、毎月確実に1枠が埋まるので精神的にも安定します。

閑散期(4月・7月・10月)に予約件数が落ちるのは避けられませんが、定期イベントがあると下げ止まりしやすいです。毎月1〜2枠を定期で押さえられるだけで、数字の安定感がかなり変わります。自分でイベントを企画して定期開催できると、閑散期の底打ちに効きます。

固定利用と組み合わせて売上の振れ幅を減らす

レンタルスペースだけだと月によって売上がバラつきます。これを減らす方法の一つが、固定利用者との組み合わせです。

私は藤沢スペースでフランチャイズの枠として固定使用している時間帯を設けていて、残りの枠をレンタルスペースとして一般開放する構成にしています。固定利用があると、月の売上の一定額が確定します。振れ幅が小さくなると、積立計画も立てやすくなります。

2店舗目を考えているなら、1店舗目の段階から「固定で使ってくれる人を探す」という動きをしておくことをおすすめします。ダンス教室・ヨガ・整体・習い事など、定期的にスペースを使いたいニーズは意外と多いです。


融資の話:「どうせ通らない」は思い込みかもしれない

私も最初は「個人事業主・副業者が融資を受けるのは難しい」と思っていました。でも実際に調べてみると、1店舗目の収支実績があれば審査のテーブルには乗れます。

金融機関が見るのは「返せる能力があるか」です。3ヶ月分の通帳と月次の収支を整理して出せれば、話が進むことがあります。

一つ大事な点:物件が見つかってから融資を申し込むのは遅いです。

良い物件はすぐに埋まります。Goライン金額に向けて積み立てている段階で、並行して融資の仮審査だけ通しておくのが現実的な動き方です。GMOあおぞらネット銀行のような銀行系はネット完結・無料で仮審査ができますし、否決されても信用情報への影響は軽微です。

金利の差は実額で見ると意外と大きいです。100万円を1年借りる場合、金利5%なら利息5万円ですが、18%だと18万円。この差額13万円は備品代や光熱費に充てられます。できるだけ低金利の銀行系ローンから探すことをおすすめします。

急ぎで資金が必要な場合(良い物件が急に見つかったなど)は、AGビジネスサポートのような即日融資に対応しているサービスも選択肢に入ります。金利は高めになりますが、スピードが必要なときの選択肢として知っておく価値はあります。


2店舗目を出すとき、最初から入れておいた仕組み

藤沢スペースを開業したとき、開業前から徹底したことが一つあります。無人運営の仕組みを最初から入れておくことです。

スマートロック+自動メッセージの設計を開業前に整えておくことで、「2店舗になった瞬間に自分が毎日走り回る」という状態を防げます。これをやっておかないと、2店舗目を出した途端に自分がボトルネックになります。

私はWordPressはSWELL×ConoHa Wing、予約システムはAmeliaを自分で導入しています。スマートロックの設定も自分でやりました。SEという職業柄、自動化への抵抗感が薄いのは確かですが、ツール自体は誰でも使えるものばかりです。

多店舗展開を考えているなら、1店舗目の段階から「自分がいなくても回る仕組み」を意識しておくことが、2店舗目に踏み出すための実質的な前提条件だと思います。仕組みがないまま2店舗目に進むと、自分の時間が純粋に2倍消えます。


ロードマップのまとめ

2店舗目に踏み出せない理由のほとんどは「資金が足りない」ではなく、「Goラインの基準を決めていない」ことです。

整理すると、こういう順番で動くのがいいと思います。

  1. 1店舗目が3ヶ月以上、連続して月次黒字になっている
  2. 週末の予約が安定して埋まり、断るケースが出てきた
  3. 無人運営が回っていて、自分の手がほぼかからない
  4. 月次純利益の平均を出して、年間の積立見込みを計算する
  5. 2店舗目の初期費用の概算を出し、Goライン金額を決める(初期費用の50〜60%+運転資金バッファが目安)
  6. Goラインに向けて毎月積み立てながら、融資の仮審査も並行して進める
  7. 良い物件が見つかったら、融資枠を使って動く

全額現金が貯まるまで待っていると、現実的には1〜2年は動けません。でもこの順番で進めれば、1店舗目の利益から着実に頭金を作りながら、現実的なタイミングで2店舗目に踏み出せます。


今日、1つだけやること

直近3ヶ月の月次純利益の平均を出してみてください。それだけでOKです。

売上 − ポータル手数料 − 家賃 − 光熱費 − 清掃費を3ヶ月分計算して平均を出す。この数字が出た瞬間、Goラインまでのスケジュールが見えてきます。

数字が出たら、GMOあおぞらネット銀行の仮審査をネットで申し込んでみる。無料・ネット完結・否決されてもリスクはほぼありません。

この2アクションだけで、2店舗目への道のりが半年は早まると思います。


※本記事にはアフィリエイトリンクを含みます。記事内で紹介しているサービスは一般的な情報として紹介しています。融資の審査結果は個人の状況によって異なります。

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