結論:「急ぎ度」で使う商品を切り替えるだけで、物件を逃さずに動ける
物件契約まで今週中なら、即日融資のビジネスローン一択です。1ヶ月以上の余裕があるなら、低金利の銀行系ローンで金利コストを抑える。この2択を「急ぎ度」で切り替えるだけで、同じ300万円の借入でも年間の利息コストが大きく変わってきます。
「ローンなんて怖い」という気持ち、すごくわかります。私も最初はそうでした。でも、良い居抜き物件を1件取れるかどうかで、その後の事業規模がまったく変わってくるのも正直なところで。
この記事では、神奈川の藤沢・平塚でRentalSpacekite.とStudioLOKUを運営してきた私の実体験をもとに、「どの場面でどう動くか」を具体的に書いていきます。本業はシステムエンジニアのサラリーマンで、副業からスペース運営を始めて法人化した立場なので、同じような状況の方には参考になる部分が多いと思います。
「1店舗目が軌道に乗ってきた頃」に必ずぶつかる資金の壁
正直に言うと、私もこの壁にぶつかりました。
平塚のRentalSpacekite.(約40㎡)を開業してしばらく経った頃のことです。週末の予約がある程度入るようになって、月の売上も10万円を超えてきたタイミングで、ちょうど良さそうな居抜き物件の情報が入ってきました。内装がほとんどそのまま使えて、初期費用をかなり抑えられそうな物件です。今のStudioLOKU(平塚・約20㎡のダンス・整体スタジオ)につながる話です。
でも口座を見ると、現実はシビアでした。
2店舗目に必要な費用って、意外とかさみます。敷金・礼金だけで家賃の2〜4ヶ月分、そこにスマートロック設置・Wi-Fi工事・備品・撮影費用などを足すと、居抜きでもトータル150〜250万円くらいはすぐに出ていきます。都市部や広めの物件なら300万円を超えることも珍しくありません。
毎月コツコツ積み上げてきた利益で、一括でそれを出すのはなかなか厳しい。
「銀行に相談したら、事業実績が2年以上ないと難しいと言われた」「日本政策金融公庫に申し込んだら、着金まで2ヶ月かかると言われた」——こういう話、運営者仲間から本当によく聞きます。その2ヶ月の間に、物件は他の人に取られます。
資金さえあれば今すぐ動けるのに。 この歯がゆさが、2店舗目を目指すときの一番のネックだと思います。
開業費用の内訳イメージ(居抜き物件・30㎡前後の場合)
「だいたいいくら必要なの?」という疑問に答えるために、StudioLOKUを開業したときの経験をもとに費用感をまとめてみました。
| 費用項目 | 目安金額 |
|---|---|
| 敷金・礼金(家賃7万円 × 3ヶ月分) | 約21万円 |
| スマートロック設置・鍵交換 | 約5万円 |
| Wi-Fi工事・通信費初期費用 | 約3万円 |
| 照明・家具・備品(最低限) | 約20〜40万円 |
| 撮影費用(スペース写真・動画) | 約3〜5万円 |
| 清掃道具・消耗品の初期ストック | 約2万円 |
| 予備費(予想外の修繕・追加備品) | 約10〜20万円 |
| 合計目安 | 約64〜96万円 |
※内装に手を加える物件の場合は、クロス・床の張り替えで+30〜60万円が追加になります。居抜きでも最低150万円前後、内装に手を入れると250〜300万円は見ておく必要があります。
「居抜きだから安くできる」は確かにそうなんですが、それでも150万円以上は普通に出ていきます。StudioLOKUは居抜きで入れたので内装費をかなり節約できましたが、それでも初期投資として150万円近くは出ていきました。本業がSEなのでスマートロックは自分で設置して工賃を節約しつつ、備品は少しずつ揃えながら絞りに絞ってこの金額です。「居抜きだからほぼゼロでいける」は正直、過剰な期待だと思っておいた方がいいです。
解決策:自分の状況を3パターンに分けて考える
「とにかくビジネスローンを使えばいい」じゃなくて、自分が今どのパターンにいるかで動き方が変わります。ここが一番大事なポイントです。
| パターン | 状況 | 取るべき行動 |
|---|---|---|
| ① 緊急 | 物件契約まで今週中・来週まで | 即日融資のビジネスローン一択。銀行・公庫は間に合わない |
| ② 余裕あり | 内装着工まで1〜2ヶ月ある | 低金利の銀行系ローンと並走。物件仮押さえと同時に申込 |
| ③ 備品だけ | 物件はOK・備品・設備だけ足りない | 必要額を絞って最小限調達。100〜150万円の小口融資で対応 |
パターン①:物件契約まで今週中(緊急)
銀行系や日本政策金融公庫は、正直この状況では間に合いません。即日融資のビジネスローン一択です。
「金利が高いから嫌だ」という気持ちはわかります。私もそう思っていました。でも、良い居抜き物件を1件取れれば、内装をほぼそのまま使えた分のリターンは長期的に見れば数百万円単位になります。金利コストと、物件を逃すリスクを天秤にかけて考えてみてください。
StudioLOKUを出す前に感じたことですが、こういった緊急場面では「まず使える枠だけ先に確認しておく」が正解でした。申し込んでも借りる義務はないので、「いざとなれば○○万円まで動ける」という状態を先に作っておくだけで、判断のスピードがぜんぜん違います。
物件情報が来てから初めて動き始めると、その時点でもう遅いんですよね。良い物件ほど競合も多いし、オーナーさんも「すぐ動ける人」を選びます。本業のサラリーマンをしながら副業でやっている分、昼間に動けないことも多いので、「事前に準備しておく」ことの重要さは身に染みています。
パターン②:内装着工まで1〜2ヶ月の余裕がある
物件の仮押さえはできている、でも内装費や備品費が足りないケース。これが一番多いパターンだと思います。
この場合は低金利の銀行系ローンと並走できます。審査期間を逆算して早めに動けば、金利コストをかなり抑えられます。「今すぐ現金が必要」ではなく「着工前までに振り込まれれば良い」なら、慌てて高金利ローンを使う必要はありません。
1〜2週間の審査期間を見越して、物件仮押さえのタイミングで同時に申し込む動き方がいいと思います。「余裕があるから後でいいか」と思っているうちに、気づいたら着工1週間前になっていた……というのはよくある話なので、動き出しは早めに。
パターン③:備品・設備だけが足りない
椅子・照明・空調・撮影機材など、備品が揃えられないだけなら、必要額を絞って最小限の調達に留めるのがいいと思います。
私の経験上、開業時に「あれもこれも欲しい」と思って備品を揃えすぎると、初月から資金繰りが苦しくなります。最初に必要なものだけリストアップして、「これだけあれば予約を受けられる」という金額を先に固める。実際、最初の数ヶ月は予約件数が少なくて「この備品いらなかったな」ってなるものも出てきますし。
藤沢のRentalSpacekite.(約64㎡)を2025年4月にオープンしたときも、最初は最低限の備品だけでスタートして、予約が入り始めてから少しずつ追加していきました。最初から完璧にしようとしない方が、結果的にムダな出費を防げます。ちなみにその月は一時赤字になっています。立ち上がり初月はそういうもので、想定内として計画に織り込んでおくのが大事だと思います。
100〜150万円の小口融資でも十分対応できるので、借りすぎには注意してください。スペース事業は売上の立ち上がりがゆっくりなので、借入額が大きすぎると初月から返済がきつくなります。
申込前にやっておくと審査がスムーズになる準備
これは実際にやってみてわかったことですが、申し込み前にこの3点を揃えておくだけで、担当者への説明がスムーズになって審査時間も短くなります。
- 直近3〜6ヶ月の通帳コピー(売上入金が定期的に入っていることが伝わるもの)
- 予約履歴のスクリーンショット(スペースマーケットやインスタベースの管理画面でも十分です)
- 月次の収支メモ(難しく考えなくていい。売上・家賃・光熱費・利益だけでもOK)
特に個人事業主や、法人化して間もない頃は「実績をどう見せるか」が審査のポイントになります。口頭で「月10万円売れています」と言うより、通帳と予約履歴をセットで出した方が断然伝わりやすいです。
私が最初の融資を相談したとき、予約履歴のスクショを追加で出したら担当者の反応がガラッと変わりました。「事業の実態が見える」という感じで、数字だけじゃなくて「実際に人が使っている」というエビデンスが効くんだと実感しました。
「定期的な売上の流れ」を通帳に作ることが重要
もう一つ、審査で効いてくることがあって。それが定期的な売上の流れを通帳に作ることです。
ポータル経由のスポット予約だけだと、月によって売上の波が大きくなりがちです。実際、平塚スペースでも12月は売上51.6万・利益24.6万と跳ね上がる一方、4月・7月・10月は利益がほぼゼロになる閑散期があります。こういう波は審査担当者から見ると「事業として安定しているかどうか」が読みにくい状態です。
私は平塚スペースで「湘南ポーカークラブ」を毎月第2日曜日に定期開催しています。毎月ほぼ同じ日に同額が入金される流れができているので、通帳上の規則性が生まれます。また、藤沢スペースでは「アクティメソッド」フランチャイズに加盟して、水・木の夕方と土曜午前の枠を固定利用として確保し、残り枠をレンタルスペースとして営業しています。
| 売上の種類 | 特徴 | 審査への影響 |
|---|---|---|
| ポータル経由のスポット予約 | 月によって波がある | 担当者には不安定に見えやすい |
| 定期イベント(湘南ポーカークラブ等) | 毎月ほぼ同額・同日入金 | 継続性のある事業として見せやすい |
| フランチャイズ固定利用(アクティメソッド等) | 月次で安定した売上の土台 | 長期的な収益見通しが立てやすい |
こういう「固定利用+スポット予約」の複合運営ができていると、融資の担当者にとっても「継続性のある事業」として見えやすくなります。定期イベントやフランチャイズ活用は、単に予約を埋めるだけじゃなくて、こういうところで間接的に効いてくるんですよね。
定期利用の枠があることで「最低限これだけは入る」という土台ができるのは、資金計画を立てるうえでも精神的にも大きいです。
借りる前に「返せる計算」を必ず立てる
これ、意外とやらずに申し込む人が多いんですが、返済できるかの計算を先に立てることが最重要です。私も最初は「何とかなるだろう」と思いがちでしたが、資金繰りで焦った経験があるので今は必ずやるようにしています。
30㎡前後のスペースで、週末の予約がある程度安定してくると月8〜12万円の売上が現実的なラインです。そこから家賃・光熱費・システム利用料などの固定費を引いて、さらにローン返済額を引いてもプラスになるかを確認してください。
| 条件 | 金額 |
|---|---|
| 月売上(週末中心・安定してきた場合) | 約10万円 |
| 家賃・光熱費・システム費など固定費 | 約5万円 |
| 月の利益(返済前) | 約5万円 |
この利益5万円に対して、300万円の借入をした場合の月返済額はこうなります。
| 返済期間 | 金利 | 月返済額目安 | 判定 |
|---|---|---|---|
| 3年返済 | 18%(高金利) | 約10.8万円 | ✗ 赤字になる |
| 3年返済 | 5% | 約9.0万円 | △ かなりきつい |
| 5年返済 | 5% | 約5.7万円 | △ ギリギリ |
| 5年返済 | 1% | 約5.1万円 | △ ほぼとんとん |
このシミュレーションを見ると、300万円を高金利で借りた場合は開業初月から完全に赤字です。現実的な対応策は2つあります。
- 借入額を抑える:150〜200万円に絞ると月返済額が3〜5万円レベルになり、利益の範囲内で返せる計算になります
- 返済猶予をつけてもらう交渉をする:開業後3〜6ヶ月は売上の立ち上がりが遅いことを伝えて、返済開始時期を後ろにずらしてもらう方法もあります
私が資金繰りで焦った時期は、まさにこの計算を甘く見ていたときでした。売上の立ち上がりが想定より遅れて、「来月どうしよう」という状態になったこともあります。事前にシミュレーションしてあれば、少なくとも心の準備はできていたと思います。焦った状態で判断すると、必要以上に借りてしまったり、逆に動けなくなってしまったりするので。
ポータルサイト経由の売上は手数料を引いた手取りで計算する
資金計画を立てるときによく見落とされるポイントなんですが、ポータルサイトの売上は手数料を引いた手取り額で返済計算しないとズレます。
主要ポータルの手数料は以下の通りです(実際に使っている実数値です)。
| ポータルサイト | 手数料 |
|---|---|
| インスタベース | 35% |
| スペースマーケット | 30% |
| スペイシー | 30% |
| かしかし | 30% |
| くーある | 15% |
| 自社サイト(Stripe等) | 約3.6%(決済手数料のみ) |
たとえば月の予約売上が10万円でも、インスタベース経由なら手取りは約6.5万円です。スペースマーケットなら約7万円。この差は、返済計画を立てるうえでかなり効いてきます。
平塚スペースの2025年実績では、年間売上約295万円に対して年間手数料が約88万円(売上の約30%)でした。これが毎年出ていく固定コストとして重くのしかかるので、資金計画には必ず手数料控除後の数字を使ってください。
自社サイトへの誘導はポータル規約に注意
「自社サイトに誘導して手数料を減らしたい」という気持ちはよくわかります。ただ、ポータル経由の予約者に対して自社サイトへ誘導する行為はポータルの規約違反になります。予約確認メールやポータルのメッセージ機能でLINEや自社URLに誘導するのは絶対にやめた方がいいです。アカウント停止になることもあります。
スペース内にQRコードを設置して自社サイトを案内する方法をやっている運営者は多いですが、これも規約上はグレーゾーンです。やる場合はあくまでご自身の判断で、リスクを理解した上で行ってください。
自社サイトからの予約を増やしていくことが、長期的に手数料コストを下げる一番健全な方法です。私もWordPress(SWELL×ConoHa Wing)+予約プラグインのAmeliaで自社予約サイトを作って、直接予約の比率を少しずつ上げていっています。SEとして自分でシステムを組めるのはこういうときに強みになります。
商品の選び方:急ぎ度と金利コストのトレードオフ
ビジネスローンは「速さ」と「金利の安さ」がトレードオフです。急ぎの場面ほど金利は高くなる傾向があるので、「どれくらい急いでいるか」で商品を切り替えるのが基本的な考え方です。
| 商品 | 金利 | 融資スピード | 向いている状況 |
|---|---|---|---|
| AGビジネスサポート | 年3.1〜18.0% | 最短即日 | 今週中に契約が必要・緊急 |
| ビジネクスト | 年12.0〜18.0% | 最短即日 |
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